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Textile Industry Column糸偏コラム:自由な視点
素材のちから
〜伝統と革新〜

素材のちから 〜伝統と革新〜

服づくりの出発点であり、完成度を大きく左右する「素材」に真正面から向き合うコラムです。 デザインやシルエットが注目されがちなファッションの世界において、その土台を支えているのは糸や繊維、生地といった目に見えにくい要素です。 本コラムでは、そうした素材の成り立ちや特性に光を当て、ものづくりの本質をひも解いていきます。

糸の撚り方ひとつで変わる風合いや強度、繊維の種類によって異なる機能性、染色や加工技術が生み出す表情の違いなど、現場で必要とされる基礎知識を、専門的になりすぎない言葉で解説します。 天然繊維と合成繊維の特性比較や、それぞれが持つメリット・課題にも触れながら、素材選びの背景にある考え方を丁寧に紹介していきます。

また、長い歴史の中で受け継がれてきた伝統的な素材や、地域ごとに育まれてきた技術にも目を向けます。 なぜその土地でその素材が発展したのか、現代の服づくりにどのように活かされているのか。 過去と現在をつなぐ視点を通して、素材が持つ物語性や文化的な価値を掘り下げていきます。

さらに、サステナビリティや機能性を軸とした最新の素材開発、未来に向けた取り組みにも注目します。 革新は突然生まれるものではなく、積み重ねられた技術の延長線上にあるもの。 本コラムは、伝統と革新の交差点から、素材の奥深さと尽きない面白さを伝えることを目指しています。 業界関係者はもちろん、ものづくりに興味のあるすべての方に、素材を見る目を少し変えるきっかけをお届けします。


2026.01.19

第9回:素材のちから
素材のちから シルクの旅 〜リンク集〜

「素材のちから〜伝統と革新〜」第9回では、シルクという素材を“知ること”を目的に、その背景に広がる文化と人の営みへ視野を広げていく回です。富岡製糸場をはじめとする世界遺産群から、群馬県内外に点在する博物館、工場遺産、資料館まで、シルクに関わる施設をカテゴリ別に整理したリンク集として構成しています。これは網羅を目的としたものではなく、「こんな場所がある」「いつか訪れてみたい」という小さな関心の芽を育てるための入口。養蚕・製糸・織物が地域や暮らしとどう結びついてきたのかを俯瞰しながら、シルクが今も続く“生きた文化”であることを感じてもらうためのガイドです。

2026.01.12

第8回:素材のちから
群馬県立絹の里でたどる 〜知ることで、残せる〜

「素材のちから〜伝統と革新〜」第8回では、今も稼働する碓氷製糸工場を見たあとに訪れた、群馬県立絹の里を取り上げます。ここは展示を“眺める”場所ではなく、絹の歴史や技術、人との関わりを体系的に理解できる場所。富岡製糸場をはじめとする各施設や出来事が一本の流れとして結びつき、絹産業の全体像が立体的に見えてきます。蚕の品種、糸づくりの工程、商標や暮らしの知恵など、多角的な展示を通じて感じるのは、「知ること」が素材を未来へ残す力になるということ。現場と歴史をつなぐ学びの場を、初めての方にもわかりやすく紹介した回です。

碓氷製糸工場

2026.01.11

第7回:素材のちから
碓氷製糸工場 〜今に残る製糸工場〜

「素材のちから〜伝統と革新〜」第7回では、日本で数少ない“いまも稼働を続ける製糸工場”である碓氷製糸工場を取り上げます。富岡製糸場をはじめとした歴史的施設を巡ってきた中で浮かび上がった、「では、絹はいまどうなっているのか?」という問い。その答えを探るため、実際に現地を訪れ、音や温度、空気感まで体験した記録です。農家から集まる繭を均質な生糸へと整える工程、繊細な糸と向き合う人の技、そして純国産の絹を守り続ける意味。碓氷製糸工場は“最後の工場”ではなく、“続いている場所”でした。過去の遺産ではなく、現在進行形の素材産業としての絹の姿を、初めての方にも伝わるよう描いた回です。

富岡製糸場と絹産業遺産群 〜総集編〜

2026.01.10

第6回:素材のちから
絹産業遺産群 〜プラスアルファ〜

「素材のちから〜伝統と革新〜」第6回では、絹産業遺産群の“プラスアルファ”として、世界遺産登録には至らなかった関連施設に光を当てます。鉄道や倉庫、風穴、養蚕農家、一本の桑の木まで――それらは表舞台に立つことはありませんが、日本の絹産業を確実に支えてきた存在でした。絹を運ぶ、保管する、育てる、待たせるという無数の営みが重なり合い、はじめて産業は成り立っていたのです。本編では、産業は工場だけで完結するものではなく、地域や暮らし、自然との関係の中で育まれてきたことを丁寧に描きます。現代の製糸を語る前に、その土台となった「名もなき支え」を見つめ直す回です。

富岡製糸場と絹産業遺産群 〜総集編〜

2026.01.09

第5回:素材のちから
富岡製糸場と絹産業遺産群 〜総集編〜

「素材のちから〜伝統と革新〜」第5回では、富岡製糸場、高山社、田島弥平旧宅、荒船風穴という4つの絹産業遺産を「総集編」として捉え直します。それぞれは別々の場所・役割を持ちながらも、明治という同じ時代の要請の中で、結果的にひとつの大きな仕組みを形づくっていました。工業製品としての生糸の基準を示した富岡、養蚕を学問として広げた高山社、現場で理論を実証した田島弥平、時間を制御し産業を支えた荒船風穴。直接の協業ではなく、「役割の連なり」によって成り立った絹産業の姿から、素材の価値は人と人との関係性によって育まれることを読み解きます。

荒船風穴

2026.01.08

第4回:素材のちから
荒船風穴 〜山がつくった“天然冷蔵庫”〜

「素材のちから〜伝統と革新〜」第4回では、世界遺産・荒船風穴を取り上げます。レンガも機械もない、山の斜面にあるこの場所は、かつて日本の絹産業を支えた“天然の冷蔵庫”でした。電気のない時代、山から自然に吹き出す冷気を利用して蚕の卵を低温保存し、孵化の時期を調整する――荒船風穴は「時間を制御する」という難題を自然と知恵で解決した施設です。富岡製糸場や高山社、田島弥平旧宅と連動し、日本の絹産業を陰で支えた存在。その静かで合理的な役割に、近代日本のものづくりの本質が見えてきます。

田島弥平旧宅

2026.01.07

第3回:素材のちから
富岡製糸場 〜映えある初回〜

「素材のちから〜伝統と革新〜」第3回では、世界遺産・田島弥平旧宅を通して、日本の蚕が世界へ広がっていった背景をたどります。舞台は大きな工場ではなく、群馬の静かな農家の一軒家。田島弥平は観察と工夫を重ね、風を通す「ヤグラ」という仕組みで蚕を健康に育てる方法を生み出しました。その技術は良質な繭を安定して生み、日本が蚕種から繭、生糸へと輸出の軸を移す大きな支えとなります。旧宅が評価された理由は建物の立派さではなく、自然を読み解き、知恵を社会に広げた“思想”そのもの。静かな農家が近代日本を動かした、その原点に触れる回です。

高山社

2026.01.06

第2回:素材のちから
富岡製糸場 〜映えある初回〜

新シリーズ「素材のちから〜伝統と革新〜」第2回では、富岡製糸場の成功を陰から支えた存在「高山社」に光を当てます。派手な工場ではなく、養蚕を研究・教育する場として、人を育てることに注力した高山社。当時、日本経済を支えていた生糸産業において、安定した品質の繭を全国に広めた役割は非常に大きなものでした。技術を理論化し、教育として社会に実装したその仕組みは、現代にも通じる考え方です。華やかな歴史の裏側で、日本の絹産業を面で支えた“もうひとつの主役”の物語をお届けします。

富岡製糸場

2026.01.05

第1回:素材のちから
富岡製糸場 〜映えある初回〜

新シリーズ「素材のちから〜伝統と革新〜」第1回では、日本の近代産業の原点・富岡製糸場を取り上げます。教科書で知っていた場所を、自身の体験と群馬の糸文化と重ねながら、素材が人や社会を動かしてきた歴史をひも解きます。国家事業として始まり、技術と人を育て、世界と向き合った富岡製糸場。その歩みと終焉、そして世界遺産として残った意味を通して、今あらためて「素材と向き合う姿勢」の大切さを考えます。流行の速い時代だからこそ立ち返りたい、素材の原点を描いた初回です。

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