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Textile Industry Column糸偏コラム:自由な視点
サステナの窓

2026.01.01:第1回 サステナの窓

サステナブルについて考える
〜自身の行動〜

はじめまして。
「サステナの窓」をご覧いただきありがとうございました。

さて、
「サステナブル」という言葉を聞かない日は、もうほとんどありません。 ファッション業界に身を置いていると、なおさらです。

環境配慮、循環型社会、エシカル、アップサイクル—— どれも大切で、どれも正しい。 でも正直なところ、少し距離を感じてしまう言葉でもありました。

この「サステナの窓」は、 立派な理論や模範解答を語る場所ではありません。

これまで服や繊維と向き合ってきた一人の人間として、 「本当に自分はサステナブルだったのか?」 その問いを、正直に、等身大で見つめ直す場所です。

未来にやさしい行動は、 きっと小さくて、不器用で、完璧ではない。 それでも、続けることに意味がある。 そんな思いを込めて、この窓を開いてみたいと思います。

サステナブル

◾️ 胸を張って「サステナブルだった」と言えるだろうか

まず、自分自身に問いかけてみました。

「私はサステナブルな行動をしてきただろうか?」

答えは、正直に言って 胸を張って「はい」と言えるものではありません。

洋服屋で店長をしていた頃、 バイヤーとして仕入れをしていた頃、 メーカーで営業をしていた時、 生地のバイヤーとして素材を選んでいた時——。

どの立場にいても、 常に優先していたのは「売上」でした。


◾️ 売上至上主義と「機会損失」という言葉

売上をつくる。 欠品を起こさない。 チャンスを逃さない。

業界では当たり前のように使われる 「機会損失」という言葉。

売れるかもしれない商品を 用意していなかったことで 売上を逃すことは、悪だと教えられてきました。

だからこそ、 「売れる以上の数量を手配する」 それが正解だと思っていました。

もちろん、在庫を残すことは良くない。 理想を言えば、 仕入れた数量=売れた数量。 100%消化できれば、それが一番美しい。

でも現実は、そう簡単ではありません。


◾️ 数字で見る、日本の衣料供給の現実

少し、数字の話をします。

2024年の 経済産業省や繊維関連統計によると、 日本国内に供給された衣料品の数量は 約34億点前後と算出されています。

ここで大切なのは、 この「供給量」という言葉の意味です。

供給量とは、 国内で流通したすべての衣料品。

つまり、 「国内生産・海外からの輸入」これらを合算した**「市場に出された総量」**です。

売れた・売れなかったに関係なく、 一度は市場に並んだ衣料の数だと考えてください。


◾️ では、実際に何点売れているのか?

ここで、誰もが気になる疑問が浮かびます。

「じゃあ、実際に売れたのは何点なのか?」

実はこの問いに、 明確に答えられる公式データは存在しません。

その理由は、いくつかあります。
・ 各企業が販売数量を機密情報として扱っている
・ 小売、卸、EC、返品など流通チャネルが複雑
・ 返品やキャンセルを含めた定義が統一されていない

つまり、 全国レベルで「販売数量」を正確に把握することは、現実的に難しいのです。


◾️ 約3割が「売れ残り」になるという現実

では、売れ残りはどれくらい発生しているのでしょうか。

ここで参考になるのが、 **環境省の委託調査(令和6年度)**です。

この調査によると、 国内衣料品の平均売れ残り率は約29.6% (※重量ベース)

さらに、 そのうち約24.4%は翌シーズンへ持ち越される と推計されています。

つまり、構造としてはこうです。
・ 市場に供給された衣料の約3割が売れ残る
・ 一部はセールで販売
・ 一部は翌年・翌シーズンに持ち越し
・ それでも残ったものは
廃棄、焼却、リサイクルなどに回る

決してすべてが無駄になっているわけではない。 でも、無駄がないとは言い切れない。 これが現実です。


◾️ 消費者として、私たちはどうだろう?

ここで、視点を少し変えてみます。

私たちは、買った洋服をすべて寿命まで着ているだろうか?

正直に言って、 答えは「No」ではないでしょうか。

流行があります。 気分の変化があります。 サイズが合わなくなることもあります。

結果として、
・ クローゼットの奥に眠る服
・ 数回しか着ていない服
・ いつか着るつもりで手放せない服

そんな洋服が、誰の家にもあるはずです。


◾️ 廃棄だけが「無駄」ではない

流行遅れになった服は、 捨てられることもあります。

一方で、
・ リユースショップに持ち込まれる
・ フリマアプリに出品される
・ 誰かの手に渡って、再び着られる

こうした循環が生まれれば、
それは「無駄」ではなく 役割を変えて生き続ける洋服だと言えるのではないでしょうか。


◾️ リユースに感じていた、正直な抵抗感

実は、 私自身もリユース品に対して 強い抵抗感を持っていました。

初めてリユースの洋服を買ったのは、 つい2年ほど前のことです。

理由は単純でした。
・ 誰が着ていたかわからない
・ 独特の匂いが気になる
・ キズや汚れがありそう

今思えば、 かなり先入観に支配されていたと思います。


◾️ 変化のきっかけは「買い物のマンネリ」

住んでいる地域には、 セカストやトレファクなど 大手リユースショップが揃っています。

一方で、 新品の洋服を買おうとすると、
・ ユニクロ
・ イオン内のショップ

選択肢は、ほぼ決まっています。

ベーシックな服を買うには問題ない。

でも、 「これだ」と思える一着に出会うことが、だんだん難しくなってきました。


◾️ リユースショップの「ワクワク感」

その点、リユースショップは違います。

同じ商品は二つとない。 行くたびに、ラインナップが変わる。

ユーズドであるがゆえの 偶然性と発見。

しかも、多くの場合 元の価格よりもずっと手頃です。

気がつけば、 「掘り出し物を探す」ことが ちょっとした日課になっていました。


◾️ 気づけば、数百点の洋服に囲まれて

結果として、 家にはすでに数百点単位の洋服があります。

正直、 これから生涯かけても着きれません。

それならば。 この洋服たちに、 次の行き先を探してあげたい。

そんな思いが、 このコラムと連動した行動につながりました。


◾️ 父が娘の嫁入り先を探すように

少し大げさかもしれませんが、 今の気持ちは、 父親が娘の嫁入り先を探すような感覚です。

せっかく生まれてきた洋服たちが、 誰にも袖を通されず 廃棄されてしまうのは、 やはり寂しい。

ならば、 きちんと魅力を伝え、 大切に着てくれる人のもとへ送り出したい。


◾️ 目標は「365日・365点」

販売方法は、 メルカリを利用する予定です。

目標はシンプル。
・ 1日1点出品
・ 年間365点

365日365点出品計画です。

そして、 月に2回程度、 この「サステナの窓」の中で 出品した商品の魅力も紹介していきます。
・ なぜ気に入ったのか
・ どこが良いのか
・ どんな人に着てほしいのか

想いも一緒に、届けたいと思っています。


◾️ これは「完璧なサステナ」ではない

正直に言えば、 これだけで 世界が変わるわけではありません。

でも、
・ 小さなことでも
・ 無理のない形で
・ やり続けること

それが、 今の自分にできるサステナブルな行動だと思っています。


◾️ おわりに|未来にやさしい窓として

「サステナの窓 〜未来にやさしい〜」は、 答えを出す場所ではありません。

考え、迷い、試しながら、 少しずつ前に進む記録です。

真の想いは、ただ一つ。

洋服を大切にしてほしい。

この窓から見える景色が、 誰かにとって 服との向き合い方を 少し変えるきっかけになれば嬉しいです。

第1回は、ここまで。 これからの更新も、どうぞお楽しみに。



【2026年2月1日】 ▶︎▶︎▶︎

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